26(承前)

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 南洋のぎらぎらと焼けつく日ざし、水平線には爆発的に盛りあがる積乱雲、海は明るいブルーでのどかに揺れている。  その空高く出現した仮想指揮所でタツオは主操縦席に座っていた。最初にあらわれたのは菱川浄児だった。大型の鳥類のような羽ばたきが聞こえて、指揮所の床から1メートルほど浮かんでいる。ジョージはカーキの軍服姿だが、背中には白い羽をつけていた。 「好きに変身できるといわれてね。天使の羽をつけてみた」  ジョージはそういう翼長3メートルはある巨大な純白の翼をたたみ、ふわりと降り立った。 「つぎはおれだな」  谷照貞の声はいつもより鋭く重く耳に届いた。  テルも進駐軍の下士官姿だが、右腕だけが変身していた。無数の銃口、ナイフや日本刀、それにどうつかうのかわからないアンテナやガラスの塊がからみあい凶悪な武器の腕となっている。モーターがうなると胴体ほどある右腕がもちあがった。 「すげえな、これなら敵の原子力空母でも轟沈できそうだ」  ジョージは口笛を吹いていった。
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