いきがみ

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日本の、どこにでもあるような一般家庭。 平穏なはずのその場所で、騒ぎがおこる。 「私、神になるの」 「何言ってるの?りかちゃん」 そう言って、母親が、家を出ようとする娘のりかをひきもどそうとその腕をつかむ。 「触れるな!私は、神ぞ!」 そしてりかは家を出、それきり戻らなかった。 りかの母親・桐生ゆかりは、娘は誘拐されたかもしれないと警察に相談するが、警察は家出として扱い、詳しい調査がなされることはなかった。 そこでゆかりは、自警団ツクヨミの一部署、零課に相談に来る。 「桐生さん。娘さんが誘拐されたとして、犯人が誰か、予測はついていますか」 杉浦が問うと、ゆかりはうなずきながらその問いにこたえた。 「はい。星華教というカルト集団の者たちだと私は考えています」 「星華教、ですか。私立星華高校の母体ともいうべき団体ですね」 そう言って杉浦は難しい顔をする。 私立星華高校は、きらぼし心療内科医院の悪事が世に知れ渡った後、犠牲者が通っていた高校としてある種の注目を集め、学校自身が悪に荷担していたという真実がゆがめられ、経営母体が変わって存続する形となっていた。 しかし、働く教師はほとんど入れ替わっていないので、また似たような事態に陥ることは不可避だった。 それをただすためにも、捜査に協力するように導くことは有意義だと杉浦は考えるにいたった。 「星華高校のトップは退任したが、教諭のほとんどは以前のままだ。彼らにでも星華教の実態をきいてみよう」 そう言って杉浦は、同行させてくださいと言った桐生ゆかりも連れて、星華高校に聴取に行った。 杉浦は、ややこしいことになるしトラウマもあるだろうからと梓の同行を拒み、音声だけ届くように手配した。
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