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星華高校の職員室を訪ねると、ゆかりの表情がかたまった。
りかがよく会っていた人間がいるという。
杉浦も、その人物が星華教の幹部であることは調べがついていたので、とりみだしてその人物にすがりつくゆかりの行動をとめることはしなかった。
「娘を返してください。親一人子一人で、ささえあって生きてきたんです。私のかわいい娘を返してください」
「神降ろしをした人間は世俗にふれさせてはいけない決まりです」
星華教の幹部はそうわけのわからないことを言ってゆかりをふりきり、足早に去って行った。
他の教員に聴取しても似たようなものだった。
星華教に関する情報をほとんど得られぬまま、杉浦は、泣き崩れた後放心したゆかりを家まで送って、零課の梓のもとまで帰った。
「地道に星華教の実態をさぐらなければならないな。星華教に関わって死亡する人間は多いときく。彼らの葬式をまわってみよう」
それから一月、杉浦と梓は、星華教に関わる人物の葬式に共通して現れる男を探りあてる。
梓は、危ない人間かあるいは悪霊なのでは、と杉浦に注意を促すが、杉浦は、大丈夫だ、と言って男に接触する。
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