しにがみ

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梓と杉浦は、二人を裏切った警察組織を退職し、秘密裏に組織された自警団・ツクヨミに入団、その部署の一として、過去を忘れないために、皮肉もこめて、“零課”を創設した。 新たなスタートをきった二人の最初の仕事は、多くの高校生を自殺においこんでいる謎の怪人“死神”、通称“D”の正体を突き止め、捕縛することだった。 「今回も私が女子高生やって情報を集めますか?」 少しわくわくをこめて梓が言った。 「あんな目にあったのに、呑気なやつだな」 そんな皮肉を言った杉浦だったが、梓の傷が思っていたよりは深くないことを知り、少し安堵するような表情をした。 それを梓も安堵してみやりながら言葉を発する。 「自殺者が一番多い高校に潜入しましょう」 「そうだな」 「月見(つくみ)高校への編入手続きや制服の手配はもう済んでいるでしょうから、潜入するタイミングをご指示願います」 「それは君のタイミングでいい。役作りをしっかりしろ。“死神”に狙われるような人間を演じなくてはならない。これまでの自殺者の人格や行動パターンの分析、家族構成までしっかり調べないと、いつまでたっても“死神”には辿りつけないぞ」 「分かっています。これでも、分析能力とか、本気をだせばすごいんですよ?」 「まあ、期待しているよ」 そう言って杉浦は皮肉っぽく笑んだ。
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