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梓は、二学期の始めから二年一組に編入した。
梓は、自殺者が二年次に多いことを調べあげていた。
なかだるみの学年であることも影響しているかと思われたが、梓は、“死神”の正体が、被害者らと同じ高校生ではないかと踏んでいた。
それも、自殺者が多い月見高校の生徒である、と。
被害者が何の前触れもなく自殺している状況から、犯人は、ごく短期間でひとを自殺に追い込むだけの能力を持っている。
さらに、多感な高校生の心に入りこむのは普通の大人では難しいことであり、自殺に追い込まれる者が高校生に絞られているところも、同年代の人間が犯人である可能性を高めている。
梓のその分析が正しければ、容疑者を見出だすこと自体はたやすいだろう。
校内で一番頭のきれる者を探しあてればいい。
犯人が高校生なら、挑発すれば、乗ってくるはずだ。
頭がよいと言っても、まだ子供。
自身の言動でひとを死にいたらしめるという、死生を支配する能力を持ち、ひとを超越したと思いこんでいる。
その優越感を揺るがす事が起きれば、何かしらの反応を示すはずだ。
梓は、己のその見立てが当たっていることを信じて、動きだす。
そして梓は、容疑者を二人の生徒に絞りこむ。
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