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「上から仕事が入った。”パックマン”事件の捜査だ」
零課の事務所に入ってくるなり杉浦がそう言って、梓とテーブルをはさんで向かいのソファーに座る。
「パックマンって、あの、ゲームの?」
「ある意味それをもじっているんだが、全くほのぼのできない話でな」
そう言って杉浦は胸ポケットからタバコを取り出し、火をつけてふかしだす。
しばらくそうしてから、杉浦は詳しい話を始めた。
「殺害した人間の死体を解体してスーパーの食肉のようにパック詰めして被害者の家族や知人におくりつけるサイコキラー、通称“パックマン”というやつがいてな。パックマン自身によってある動画がネット上にアップされ、それによって世間に知られるようになったんだが、それがかなりいかれていてな。何度削除してもコアな信者によって再投稿され続け、動物の肉を送りつけて犯行を再現する輩まで出ている。子供たちへの悪影響が不安視されていて、政府も動いている。政府(やつら)の動きを知るためにも仕事を受けた。完全版を上から借りてきたんだが、見てみるか?」
「はい」
梓がこたえると、杉浦はテーブルの上のノートパソコンを操作し、画面を梓の方に向けた。
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