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その時梓は深い思慮の淵にいた。
例の映像から読み取るに、パックマンは、異常な性癖を持ちながらも、その狂気を冷静な眼差しでもって俯瞰し、それを自身で弄ぶようにして愉しんでいるように見えた。
そんなパックマンにしては、この男は、感情で動き過ぎてはいないか。
梓が、はっと我に帰ると、男の視線が梓の方に向けられていた。
またへまをしたのかと梓は思ったが、男はどうやら意識がとんでいるらしく、次の瞬間にはどうと床に倒れて動かなくなった。
そして、何者かが男の背後から現れる。
「大丈夫ですか?」
にこやかな顔をしたその男は、したことを除けば、好青年でどこにでもいるような雰囲気の男だった。
「お前が、パックマンだな」
そう言って杉浦は警戒しながら梓を後ろに隠すようにした。
「はいともいいえとも言えますね。言うなれば僕は脚本家、この男は演者です。まあ、あの映像と君たちが傍受した音声に関しては僕ですが」
「演者はこの男だけじゃないな?何人洗脳してパックマンにしたてあげた?」
「さあね。馬鹿は使いようだとは誰が言った言葉だったかな?」
「のらりくらりしていないではっきり答えなさいよ。あなた、何者なの?」
梓が口をはさむ。
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