あんめん

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今回の依頼は、国会議員をする傍ら、人肉の売買で巨万の富を得たとされる、三吉昭彦(みよしあきひこ)の身辺調査だった。 杉浦は、回りくどい方法をとれば被害が拡大するだけだとふんで、梓と共に都内にある三吉の大豪邸へと忍んだ。 杉浦は警備システムを自身のハッキング技術と霊的なものに頼って操作し、梓と共に三吉の屋敷の屋根裏に忍んだ。 そこで杉浦はノートパソコンを開き、屋敷内に設置された監視カメラの映像をハッキングする。 しばらく監視カメラの映像をみていると、三吉がどこの監視カメラにも映らない時間があることが分かった。 杉浦はその前後の三吉の居所と屋敷の見取り図を見くらべながら、三吉が空白の時間にどこに行っているのかを分析する。 寝室やプライベートな時間を過ごす部屋は出入り口に監視カメラがあるのみなのは分かっているが、その中に、家族にも知られていない部屋があるのではと杉浦は読んでいた。 霊的なものは今回あまり進んで手を貸してはくれなかった。 三吉はそういった世界でもかなり上層に位置する人間なのだろう。 あるいは、付き従っている者の力が強大なのか。 とにかく杉浦は、“秘密の部屋”のあたりをつけて、隙をついて侵入する旨を梓に伝えた。 梓は小さくうなずき、理解したことを示す。 杉浦と梓は、夜がくるまで屋根裏で待ち、三吉とその家族が寝入った頃を見計らって屋根裏を出る。
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