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「この件は明日には公になる。さすがにここまで異常なことがおこれば、正義のためにと動き出す人間も出てくるだろう。正義に生きることほど快感を伴うことはないですからね」
「お前は一体、何を考えているんだ?」
杉浦が息巻く。
それに笑顔でこたえて男は言う。
「政府の要人達が政府を抜けて我々側に寝返る口実を作ったんですよ。僕たちは、正しい血脈の復活を担う“日輪”という組織を正式に立ち上げたんです。とりあえずの首領は僕。遅くなりましたが、僕の名前は、鹿野静(かのしずか)といいます。今日は、梓、君に参謀を紹介しに来たんだ」
鹿野がそう言って後ろを振り向くようにすると、その人物は、ゆっくりと部屋に入ってきて、笑顔を浮かべて梓を真っすぐ見据えた。
「あなたは…」
見覚えのある顔に梓は驚く。
そこには、かつて葬送師を名乗った青年が立っていた。
「斎(いつき)さんだ。斎さん、あとは任せます」
鹿野がそう言って斎に一礼するようにしてから部屋を出ていく。
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