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それから、十海はちょくちょく梓のもとを訪ねてくるようになった。
それは、つきまとわれていると言ってもよいものだった。
おかげで紀井翔太に探りを入れることができない。
こういう強引な人間に、ひとの心の隙間に入りこんで死にいたらしめるなどできないだろう。
犯人は、きっと紀井翔太だ。
梓はそう思って紀井の下校後の行動を杉浦に調査してもらうことにした。
その旨を梓がメールで杉浦に送ると、そこに十海が訪ねてきた。
「誰とメールしているの?」
「な、内緒」
梓はそう言って携帯電話を後ろ手に隠す。
「さては、彼氏だな?」
梓は思わず赤面する。
「二年一組の紀井君でしょう?彼が近くにいるといつも見つめていたものね」
「そ、そんなわけじゃ…」
「隠さなくていいのよ。でも、やっぱりかわいいひとねえ、美樹ちゃんは」
「そんな、ほめても何にもでないよ」
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