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ある病院の一室。
そこにはベッドの上で身を起こしている杉浦と、その側で椅子に座る梓の姿があった。
杉浦は、一命をとりとめていた。
杉浦は、知り合いの霊に協力してもらって落下の衝撃を弱め、死体となった幻影を紀井に見せたのだ、と言う。
「無事でよかったです。けれど、もうこんな危ないこと、しないでください」
「それはお互い様だろう」
しんみりした空気のなか、杉浦の無事を知った“死神”の片割れ、紀井が二人を殺しにやってくる。
杉浦はそれを冷静に見遣って言った。
「俺たちを殺すのか?まあ、それもいいさ。そうしたらお前は、本当にただの人間だってことを証明することになる。お前が一番認めたくないことを公然と叫ぶことになる。信念のためなら死ねる的な態度をとりながら、おそまつなこったな。結局一番の馬鹿は、お前だったってことだ。よかったな、気づけて。清らかな神になる一生に一度のチャンスを棒に振り死ぬことを拒絶したお前に残された道はどんなかな。とにかく、これからも生きていくことを決めたんだから、せいぜいあがけよ」
紀井はそのまま、まちぶせていた警察に捕まる。
「くそぉおおおおお!!」
人間にしか出せない叫び声をあげて、紀井は連行されていった。
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