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疲労と焦りでワルキューレの頬には、羽カブトの隙間から大量の汗が流れ落ちる。
こんなのどうやって倒せばいいんだよ・・
そんな焦りを見せるワルキューレに余裕の表情で魔王ゾウナは語りかけてきた。
「ワルキューレ・・あなたは『時』とはどんなものか理解していますか?」
ワルキューレはその質問に眉を細め、怪訝な反応をする。
「戦ってる最中に何聞いてんだよ。時とは時間の流れだ。神が定めた世界の法則の一つだよ!」
少し笑みを見せながらゾウナは諭すようにワルキューレに語る。
「それは違うよワルキューレ・・時は流れてなんかいないんだよ」
「どうゆう意味だよ・・」
「時は平行世界なんです。無限にあるいくつもの世界が鎖のようにいくつも繋がっていってるだけなんだよ・・それは全て同じ平面に描かれた絵のようなものなんだ」
「意味がわかんねーよ!!」
そう叫ぶとワルキューレはゾウナに斬りかかる。しかし・・その攻撃は誰もいない玉座を粉砕しただけだった・・魔王は空間の移動によってワルキューレの後方に現れた。
「今の攻撃・・私は避けましたよね?だけど避けないこともできました。しかし攻撃を避けた・・今あなたの前にいるのは攻撃を避けた私がいます。しかし無限にある世界の中には今の攻撃を避けなかった私もいるんですよ」
「なんだよそれは・・」
「私がなぜ無限に分身を生み出せるかわかりますか?それはそんな無限にある世界から別の私を呼んでいるからです」
それを聞いたワルキューレは目を細める・・そして絞り出すように声を出した。
「それは『時の鍵』の力か・・」
「そうです。しかし時の鍵の力はこれだけではありませんよ・・それでは最後に一つ面白いものを見せてあげましょう・・世界の一つにはあなたが私を倒して封印する終わりもあったかもしれませんが・・この世界はそうはなりませんでしたね・・」
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