プロローグ 時の鍵

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そう言うと魔王ゾウナは両手を上に掲げた・・眩い光が魔王の前に現れる。その光は強烈で一瞬ワルキューレの視力を奪った。しばらく発光したその光源は、時間とともに徐々にその光を薄れさせていく・・そして完全にその光力を失うと、そこには大きな鍵の形をした杖のようなものが現れていた。 ワルキューレはそれを見て叫ぶ。 「まさか・・時の鍵!!」 そして美しき女神はその叫びと同時に動いていた。時の鍵に駆け寄りながら魔法の詠唱を始める。 しかしその魔法は発動されることは無かった・・・ ゾウナはそんな女神の行動を読んでいたのか、彼女の詠唱が終わるより先に、時の鍵をワルキューレに向けて翳す・・そして理解不能の言語で何やら唱えた。 ワルキューレの周りにどす黒いシミのようなものが滲み現れる。その黒いシミは見る見るうちに女神の体全てを包み込み、彼女の動きと五感を奪っていった。 完全に視覚を奪われたワルキューレは、微かに届いた魔王ゾウナの声を聞いていた。 「ワルキューレ・・お前の存在から遥か遠い世界で・・自身の無力と愚かさを悔むがいい・・」 それはワルキューレにとって、この世界で聞いた最後の言葉となった。
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