春一の奇行

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「はぁ!?」 夏樹はつい大口を開けて聞いてしまった。 「鈴音が春に怯えてるって?」 「ああ。正直今朝なんか、ひとことも口を利いてくれなかった」 心底落ち込んだ風情で、その場にストンとしゃがみ込む。 拗ねた大人のうんこ座り。 「怪我の理由も経緯も知ってる鈴音がさ、あれだけ怯えた顔をするんだぜ。さぞかし人相が悪くなってるんだろうよ。 会社でも人相が悪いってんで、出社停止になるわけにもいかないし。だから無理やり愛想笑いを貼りつけてたら、こうなった」 うんざりした顔をしてパーテーションの向こう側に目を向ける。 キャイキャイと、まだ女性たちが騒ぐ声が聞こえる。 「なんか他の部署の女の子まで集まってきてさ、もう収拾がつかない」 春一は、しかも、 「夏樹はいいよな。前に顔中腫らした時も、鈴音に手当てしてもらえたしさ」 以前に夏樹が怪我をした時、鈴音に手当てさせたことをまだ根に持っていた!
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