70人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ!?」
夏樹はつい大口を開けて聞いてしまった。
「鈴音が春に怯えてるって?」
「ああ。正直今朝なんか、ひとことも口を利いてくれなかった」
心底落ち込んだ風情で、その場にストンとしゃがみ込む。
拗ねた大人のうんこ座り。
「怪我の理由も経緯も知ってる鈴音がさ、あれだけ怯えた顔をするんだぜ。さぞかし人相が悪くなってるんだろうよ。
会社でも人相が悪いってんで、出社停止になるわけにもいかないし。だから無理やり愛想笑いを貼りつけてたら、こうなった」
うんざりした顔をしてパーテーションの向こう側に目を向ける。
キャイキャイと、まだ女性たちが騒ぐ声が聞こえる。
「なんか他の部署の女の子まで集まってきてさ、もう収拾がつかない」
春一は、しかも、
「夏樹はいいよな。前に顔中腫らした時も、鈴音に手当てしてもらえたしさ」
以前に夏樹が怪我をした時、鈴音に手当てさせたことをまだ根に持っていた!
最初のコメントを投稿しよう!