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今朝、
「おはよう」
と言いながら、ダイニングに現れた春一を見て、
「――」
鈴音はポチャリと持っていたオタマを、みそ汁の鍋の中に落とした。
「ああもう! 何やってんだよ鈴音。汁が飛んできたじゃねーか」
文句を言いながらも、おかわりの茶碗を差し出す秋哉に、
「朝から大声を出すなよ。別にたいしたことじゃないだろう」
春一はたしなめつつ椅子を引く。
「んなこと言ったって、オレのシャツが――」
おろしたてのシャツを台無しにされて、眉をひそめながらあげた秋哉の顔がそのまま固まる。
何か言いかけた口も、ポカリと開きっぱなしになった。
春一は、白い歯をみせて笑っていた。
そのまま歯磨き粉のCMに出られそうなくらい、爽やかな笑顔だ。
そんな笑顔を浮かべたまま、
「ん?」
話しかけられるも、秋哉は返事が出来ない。
それどころか、秋哉の隣で黙々とご飯を食べていた冬依までもが、ピタリと箸を止める。
「どうした? ふたりとも」
再度、春一から問われて、
「ピャーッ!」
秋哉と冬依は小鳥がさえずるような、えらく可愛らしい悲鳴をあげた。
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