春一の奇行

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夏樹は、ふーむと唸って、 「春の愛想笑いなんて、天変地異の前触れかな」 あんまりな意見だったが、 「あるよね」 冬依がすかさず同意し、秋哉も、 「それしか考えられねーよな」 うんうんと頷いている。 「非常用袋に食料詰めとくか」 さっそく冷蔵庫を漁りにかかるのを、 「いや待て」 夏樹が止めた。 「ハムは明日の朝飯に食うんだ。冷蔵庫に戻せ」 秋哉は、 「えーいいじゃんか。ハムぐらい」 お歳暮で貰ったハムの塊を、しぶしぶ冷蔵庫の中に戻す。 『ハム一本、本気で丸かじりするつもりか、こいつ……』 秋哉の野生児セレクトに夏樹はちょっと呆れながら、 「春もここんとこの冷え込みで、熱でも出してるのかもしれないしな。まあ今晩、俺が理由を探ってみるわ」 嘘かジョークかまったくわからないやり取りをかわして、一応はその場を収めた。 なんにしても春一は、弟たちから、散々な言われようである。
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