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真由が恐怖と戸惑いで青ざめて振り向く。
「真由行って!」
「でも」
「このままじゃ真由が襲われるから!早く!」
わたしの口を塞いだ鼻息の荒い男の腕を引き真由に近づけさせない。
「みるく」
「いいから行って!」
真由が逃げるまで引き留めたい。迷った末に走りだした真由を見てでっぷりした男が追いかけようと体を浮かせた。
「離せよ」
「真由に近づかないで!」
真由の背中が消えてくのを見てわたしも逃げようとして捕まえられて思いっきり派手に転んだ。
草木の陰に転んでその上に大きな腹が乗っかった。
「邪魔したなおまえ」
「や、だっ!」
「真由ちゃんともう少しでキスできたのに。おまえが邪魔したから」
「や、あっ」
「代わりにおまえで」
「や、め」
怖い、押さえつけられる。
首筋に顔が近づくと体に悪寒が走った。
分厚いくちびるが耳を掠めて恐怖で胸が凍った。
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