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春、出会い、そして…… プロローグ
気が付くと、辺り一面火の海だった。
「母さん……?母さん……!!」
隣の部屋の様子が、開け放たれたドアから見える。
そこには母親と、無数の【何か】がいた。
俺は倒れてたところから、バッと立ち上がる。
父さんは仕事の関係でいなくて、母さんを守るのは、俺の仕事だっていつも思ってた。
「母さん!」
助けなきゃ、守らなきゃ。
あれが何かはよくわからないけれど、良くないモノだとはわかった。
それに、家が燃えているんだ。家から早く出なきゃ。
俺の身体は、見えない何かにはばまれて、母さんの元へ辿り着けない。
どうして、これは何?
「勇、母さんは大丈夫だから、家から早くでなさい」
無数の【何か】は母さんに攻撃してる。
母さんは俺には見えない何かの力で、戦ってるみたいに見えた。
俺の前にあるこの見えない壁も、きっと母さんの力だ。
家から出ろって言われても、母さんは戦っていて。無数の切り傷とか、身体にあって。血が流れてて。
「嫌だ!母さんを一人にするなんて、できない!」
俺は何もわからないから、母さんと一緒に戦うなんてできないけど。それでも自分だけ逃げて助かるなんて、できっこない。
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