春、出会い、そして…… 第一章

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春、出会い、そして…… 第一章

 桜の花が、新入生を歓迎するかのように、満開に咲いている。  本日は、私立泉林学園高等部の入寮日である。寮を利用する生徒の数は少ないが、毎年何名かは入寮希望者がいるので、寮は高校が作られた年からずっとあった。  親元を離れ、寮に入ることを希望する者が出るほどの、進学校である。  多くの者が、大学進学を希望するので、この学校の主力戦力ともいえる生徒会などは、二年生が取り仕切っている。  現生徒会長、橘秋人は寮生を迎え入れるのに忙しい寮の仕事を手伝っていた。寮長は加納司。どちらも二年生である。 「今年は皆、来るのが早いな」  加納の言うとおり、十五時までの入寮時間まで、まだ大幅に時間はある。だが、すでに寮生になる新一年生はほぼ部屋へと案内し終わっていた。  あとは加納だけでも充分にできる為、手伝いに駆り出していた二年生の寮生たちは、部屋へと戻らせている。  秋人は寮生ではないが、生徒会長という名の元、手伝いに駆り出されたのだ。 「まぁ、ここまで来たら、最後まで手伝ってやるよ」  生徒会長として、明日の入学式に必要な物はすでに準備済みだ。寮生全員を見て帰ろう、と秋人は考えた。
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