のりタマ

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丸美○というお店がある。 野里くんの親が営む弁当屋さんだ。 そこに飼われている仔猫がいるんだよ。 名前はタマなんだ。 コロコロして可愛い。 「野里くんのタマは可愛いね」 ぼくは黒猫を見て笑った。 「そうなんだよ布里鹿くん、手にのるくらい小さいからね」 玉夫くんも笑う。 「手のりタマだね」 ぼくの名前は布里鹿 毛真寿(ふりか けます)だけど、野里くんの名前も変だから、ぼくたちは気があった。 そんな野里くんの丸美○は商売繁盛している。 オマケでついてくるフリカケが美味いんだ。 「野里くんのフリカケ、最高に美味いね」 タマゴと海苔だけなのに、ご飯が何杯も食べられる。でも野里くんは浮かない顔だ。 「ぼくは食べたくないんだ」 「どうしてこんなに美味いのに?」 「うん……」 曇った顔でフリカケを捨てた。 どうしてこんなに美味いフリカケを食べないんだろう。 ぼくは不思議で仕方ないよ。 でも野里くんは暗い顔で答えない。
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