1-コーヒー店・Rufellvia

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 つまらなそうに眺めていた雑誌を閉じると、テンは、クルリとイスを回転させ、カウンターに両肘をついて寄りかかった。 「おはよ~、テン。うわぁ、相変わらず、面倒くさそうな顔ぉ」 一度、軽く顔を覗き込んだ後で、リタは、テンの隣に座った。 「起きて30分経ってないからなぁ~、テンは」 店主の言葉に、リタは、カウンターから向こう側を覗き込んだ。 シンク、置いたままの食器がある。 「ホントだ……」 「仕事の前に一杯飲むか?」 店主が、ようやく、2人を振り返った。楽しげに口元を、緩めたままで。 「お願いしまぁす」 リタが、笑顔を返す。 テンは、カウンターに両肘をついた形のまま、考え込んでいた。 「テン、お前は?コーヒー、もういいのか?」 リタの分のコーヒーを注ぎながら、店主がテンの背中に尋ねた。 「ん~……もう一杯、欲しい」 「テン~、そろそろ目ェ覚ませよ?」 淹れたてのコーヒーを受け取って、リタは、立ち上がる湯気から香る、独特の匂いを楽しんでいた。 「起きてるってば……」 背中を向けていたカウンターに、クルリとイスを回転させて向き直る。 同時に、店主がコーヒーを差し出した。 「テン、それ飲んだら、エプロン着けてこい」 「はぁ~い……」 やる気なさげに店主に応えて、テンは、早速コーヒーを口に含んだ。 「テン、今日は、何を作る?準備しとくよ?」 隣で、同じコーヒーを味わうリタは、変わらず楽しげに笑みを浮かべていた。 テンとは対照的に、リタは仕事が楽しくて仕方がないといった様子だ。 「んーと……シフォンケーキ、フォンダンショコラ……あと、クッキー」 「了解。でも、足りる?」 「ここは、コーヒー豆を売るのが本業。お前がヘンにサービスしなきゃ、足りてんの」 テンの嫌味も、リタは余裕の笑みを返した。 「テンが愛想よく笑ってくれたら、ヘンにサービスしなくても、お客さん来るんだけどなぁ?」 「……ロールケーキも追加で」 テンは、悔しげに眉間に皺を寄せた。 「了解」
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