12人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょうどその頃、生物実験室では、六条兄妹が話を続けていた。
「じゃ、倉芳、協力よろしくね」
「浄美、今は学校だぞ」
「あ。『お兄ちゃん』だよね。えへへっ」
「あれ、今日お前、【柚子】の仮面被ってるのか」
「冗談やめてよ、『兄さん』、真似をしただけだって。今日は普通の日だし、【さゆり】以外つけてないよ」
「そんなこと分かってる」
「それより兄さん、やっぱり水掛君って【梢】に似てるよね」
「似てなくね」
「いやいや、似てるって。目とか鼻とか、パーツ単位で。」
「あれからもう二年か。……あ、そういえば」
「そう。今回仮面にするのは水掛君の彼女なんだよ。水掛君には申し訳ないけど、しょうがないよね」
「水掛はいい奴だったんだけどな。かわいそうに。確か初めての女じゃないのか。お前みたいな奴に初の彼女が殺されるなんて。ああかわいそう」
「もう、兄さん。そうやって人の罪悪感くすぐるのやめてよ。ハハッ」
「罪悪感なんてねぇくせに」
「あるある」
彼女は、笑いながらそう答えた。
最初のコメントを投稿しよう!