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(君は何してるんだ)
急に声が隠冬の頭に響いた。その瞬間、振りかぶっていた右手の中にあった仮面が飛び、隠冬の顔をふさいだ。
「えッ、なんっ、ぐぉっ!」
隠冬の声が絞り出される。
(やっと見つけた。このまま逃がすなんてできない)
今まで一度も聞いたことのない、女と男がきれいにまじりあったような声が、仮面が顔にくっついた隠冬の中に響いた。
隠冬は仮面をはがそうと反射的に仮面の端に手を伸ばし力を込める。だが、はがれない。その様子をものともせず、謎の声は、(無理だ。諦めろ。とりあえず協力してもらいたいことがある)と言ってくる。狭苦しい闇の中、その声は響いてくる。
その時だった。
急に、強い風の音がした。まるで暴風雨の真ん中にいる様。
隠冬の耳を風の音が支配する。だが、数秒経った時、風の隙間を縫うように、なにやらお経のようなものが聞こえた。どこかで聞いたことのある声だった。
「カンムーシュクカイドクソヒニン……」
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