第3話 瞳がはなしかけてくる

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 隠冬の顔はもう隠冬のものではなくなっていた。もちろん六条浄美の顔でもない。  そこには、まったく知らない人の顔があった。正確にいうと、隠冬の体に、初めて見る顔が乗っかっていた。  だが、目だけは見たことがあった。それは、顔にくっついた仮面の裏側に描かれた目と同じだった。      何も言えなくなる隠冬を気遣わず、仮面は話しかけてきた。 (僕の名前は【川島梢】。今鏡に映ってるのは僕の顔だ。よろしく。)
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