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音の鳴る方へと目線を向ければ薄暗い視界の中、胡座を組んだ足が見える。
視線をあげればすぐ様笹川だと認識して桐島は驚いた。
『...先生...起きたんですか? 』という声にその姿が幻では無いことを知る。
ぼんやりと見える笹川の姿は制服を着用しておりダラリと力なく机に凭れかかっていた。
「...先生? 」
答えない桐島を訝しんだのかもう一度尋ねてくる。
その顔はどこか憂いを含んだような、疲れたような面持ちである。
「あっ...あの、おき...てます」
先程までの行為が嘘のように穏やかな笹川の言葉に一瞬夢だったのかとも思ったが、痛む体という証拠を前に現実であったことを受け止めざるおえなかった。
「声...掠れてますね」
「..そ..そう....ですね」
何故笹川が未だこの場所に残っており、話しかけてきているのか分からない桐島は不安そうに答える。
横になったまま暗闇の中、笹川を見上げ見つめるもその表情からは何を考えているのかよく分からない。
桐島は行為が終わった筈の笹川が何故いるのか疑問に思い問いかける。
「あの...なんで..」
桐島の声に笹川が耳をすます。
「なんで...まだいるんですか? 」
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