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既に暗闇に支配されている教室の中。
乱雑する机の間にすっぽりと挟まった笹川と桐島の二人。
一体もうどの位抱き締めたままなのだろう。
桐島の存在を確かめるように己の瞳をギュッと閉じたまま小さな体を閉じ込めていた。
目元が熱く感じるのは別に泣いているからではない。
瞼の裏に水分を感じたがその感覚を排除する。
抱き締める腕の感覚に集中して桐島の体を感じた。
「...ささ.かわくん」
腕の中に閉じ込めた桐島の控えめな掠れた声が聞こえてくる。
「...ごめんね」
何故か被害者である筈の桐島が謝ってきた。
意味がわからず瞼を開き、顔を上げれば己の瞳から溜まっていた涙が流れてくる。
「くそっ、なんだよコレ。...止まれ...止まれ」
堰きとめられていた涙は決壊し自分の意思とは関係なくどんどん流れ出す。
それを拭うように笹川は手の甲で瞳を擦った。
摩擦により赤くなっていく目元が腫れ始めれば、桐島は両手を使って笹川の手を止める。
「...笹川くん。駄目です」
痛痛しくみえたのだろう。
桐島は眉を八の字にさせこちらを見つめてくる。
「そ..そんな風にしたら...目が傷つきますから」
手を握られ、目を擦ることができない笹川は桐島を見つめながら涙を垂れ流していた。
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