最終章 放出されゆく

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笹川の頬を伝う涙は次から次へと溢れ出す。 目元に感じる熱により赤くなっている事を容易に想像することができる。 「そんなこと言っても止まらないんだから、仕方ないだろ...」 先程から言う事を聞かない体は笹川の頭と心を置き去りにして勝手をする。 冷静に判断し得る頭と、暴走してしまう体。 その矛盾に嘔吐くような気持ち悪さを抱える心。 笹川の動きを支配するそれらの矛盾にだんだんと体力を奪われ冷静な筈だった思考もぶれてくる。 泣きそうな顔でこちらを見つめる桐島。 その顔に一瞬扇情的な艶を見つけてしまった笹川は顔を逸らす。 「...し、心配しなくても、ちゃんと終わりにするから」 喉の奥から無理やり絞り出したような声がでた。 自分でも既に判断したことなのだ。 『潮時』を迎えた関係には終わりしかなく、不毛である。 逸らしたままの視線は横にある机に向いており、桐島を己の視界にいれない。 しかし一度感じた艶は、笹川の記憶を一気に鮮やかに脳に蘇らせた。 桐島の白くて華奢な体躯や桃色の乳首。 勃起したピンク色の陰茎。 潤んだ瞳にテラテラと光る赤い唇。 笹川の男根を咥えこんだ真っ赤に熟れた尻穴。 そして涙と鼻水と涎でグチャグチャに汚れた顔がどれだけ可愛かったか。 自分の意思とは関係なく次々と蘇る光景に現在暴走中の自分勝手な笹川の体はズクリと反応する。 気づいたその感触に自分でも嫌気がさした。 どうにかバレないようにと体ごと向きを変えようとすれば桐島の手が膝に置かれ、問いかけられる。 「笹川くん...もしかして、大きくなってますか? 」 咄嗟に合わさった視線の先には、目を丸くして驚いた顔をする桐島がいた。
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