最終章 放出されゆく

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昼休みに突入すると校内は一気に騒がしくなった。 黒板に書きかけていた文字を止めると桐島は授業終了とばかりにチョークを置いた。 礼が終われば同時に食堂や購買に行く者。弁当を机で広げる者たちで騒つき始める。 桐島はその様子を見ながら、ゆっくりと教材を片付けて教室を後にした。 職員室までの道のりを歩きながら、廊下を楽しそうに騒がしく歩く生徒たちを見て日常を見出す。 すぐ側にあるいつも通りの日常の中で自分だけが異質なモノの様に思え居心地の悪さを感じていた。 授業中も休み時間も刻一刻と迫り来る特別な時間に桐島の心は波打っていた。 『脅迫』が終わることに対して喜んでいい筈なのに、どこか不安が付き纏う。 それは笹川が桐島から離れることができるのかと同時に己も笹川から離れる事ができるのかと言う気持ち。 脳裏に浮かぶ、笹川との情事の果てに見ていた斎藤との逢瀬。 笹川と終わるということは斎藤との逢瀬も終わるのだ。 斎藤との逢瀬が終わってしまう不安はじわりじわりと桐島の心を侵食している。 斎藤に捨てられてから後、失恋によるショックが少なく済んだのは少なくても笹川のお陰なのである。 しかし、同時に湧き上がるのは笹川に対する罪悪感でもあった。
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