親衛訓練団

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10年である。 そのうち前期といわれる3年を下級修練生として費やし、中期といわれる4年は中級修練生として更なる高みを目指す。そして最後の3年で上級修練生として訓練生としての最終過程に挑むことになる。 少なくともその長い訓練期間を終えるまで、門の向こう側で日々を過ごさなければならない。無論、外部との関わりを持つことは許されない。 そんな閉鎖的な場所で、もし仮に日々を過ごしたとして――果たして無事に卒団できるかどうか。途中で気に触れるか、もしくは病に蝕まれて死ぬかもしれない。尋常な思考の持ち主ならば、その時点で入団を踏み止まるだろう。 だが――そういった懸念すら、今のエイブラットにはまったくの無縁だった。 自らの信じる道を貫きたいと思うのなら、ここで引き下がるわけにはいかない。 必ずや父のように立派な魔族になると…… その誓いが胸にある限り、進むべき道を違えることはない。
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