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クレアは、自分のカンテラを消し、闇に潜む。
滝の水が流れていく先から、一艘のボートが滑るようにこちらに向かってくる。
男が二人乗っているようで、怯えた様子で、海流がどうの、櫂がどうのと騒いでいる。
ボートが、川底に当たり、大きな音を立てると、男たちも悲鳴をあげた。
「どうかされましたか?」
呑気そうな声を出して、グラントが近づく。
カンテラで照らしてみれば、若い男が二人、魚を捕まえる網ともに乗っている。
緊迫感のないグラントの声にのせられたように、怯えていた男たちは安堵の笑顔をみせた。
「助かったぁ。夜釣りに出たら、流されちゃって。すごいスピードだったんですよ」
「ほほぅ、夜釣りですかぁ。見慣れない魚を釣ったようですね」
船には、2匹のブルームーンフィッシュがあった。
男たちは、軽く狼狽えつつも、グラントのカンテラに照らされながら、船を下りてきた。
「大変な目に合われましたね。ああ、ちょうどいい岩がそこにある。座ってください」
グラントは、男たちをねぎらうように、平たい岩の上に導いた。
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