11/15

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
クレアは、自分のカンテラを消し、闇に潜む。 滝の水が流れていく先から、一艘のボートが滑るようにこちらに向かってくる。 男が二人乗っているようで、怯えた様子で、海流がどうの、櫂がどうのと騒いでいる。 ボートが、川底に当たり、大きな音を立てると、男たちも悲鳴をあげた。 「どうかされましたか?」 呑気そうな声を出して、グラントが近づく。 カンテラで照らしてみれば、若い男が二人、魚を捕まえる網ともに乗っている。 緊迫感のないグラントの声にのせられたように、怯えていた男たちは安堵の笑顔をみせた。 「助かったぁ。夜釣りに出たら、流されちゃって。すごいスピードだったんですよ」 「ほほぅ、夜釣りですかぁ。見慣れない魚を釣ったようですね」 船には、2匹のブルームーンフィッシュがあった。 男たちは、軽く狼狽えつつも、グラントのカンテラに照らされながら、船を下りてきた。 「大変な目に合われましたね。ああ、ちょうどいい岩がそこにある。座ってください」 グラントは、男たちをねぎらうように、平たい岩の上に導いた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加