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「夜釣りにしても、ずいぶん遅い時間ですねぇ。」 カンテラの光の後ろに隠れて、グラントは、男たちを観察する。 「ああ、眠れなくて、ちょっと時間つぶしにね、なあ」 「ああ、いつ釣りに出ようが俺たちの勝手だろう」 口々に男たちが答える間に、グラントは、ゆらりゆらりと、心地いいような、心地悪いような、不思議なリズムでカンテラを動かしていた。 しばらくすると、男たちの視線がカンテラと同調しだす。 完全に同調したころ、グラントは質問をはじめた。 「今日は、なんのために海へ来たんだ?」 男たちは、カンテラの光を見で追いつつ、ぼんやりとした声で答える。 「海の雫をとるために」 「どこで、海の雫がこの海でとれることを知った?」 「金持ちの日記にかいてあった」 「その日記は、どこにある?」 「ホテルの部屋」 グラントは、ホテルの名前を聞き出すと、男たちに向かって深い声で語り始めた。 「海の雫は手に入らなかった。日記の情報はガセだった。この海は、夜は海流が早くて海にでられない。お前たちは、明日の朝一番に、この街をでるんだ」 そこで、パチンと指をならす。 男たちは、その場にぐったりとくずおれた。
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