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「いやぁ、今日のお客はなかなか率直な方のようだね」 グラントは、朝食の片づけをするホテルのスタッフ、サヤの手伝いをしながら朝の客とクレアの会話を思い出していた。 「失礼ですよ!女性に興味本位で年を聞くなんて!」 十代半ばくらいの、よく日に焼けた娘は、かわいらしく頬を膨らませる。 「会って数分で、数十年、年を取らないというのは本当ですか?って、普通聞きます?」 そう聞いたのはグラントではないのだか、サヤはぐっとにらみつける。 「オーナーが長命種だって答えたら、いまお幾つなんですか、ですって。失礼にもほどがあるわ」 クレアのことを敬愛するサヤにとっては、クレアを好奇の目で見るものは、たとえお客であっても許す気はなさそうだ。 「まぁ、いまじゃぁ珍しいからねぇ、長命種も」 「昔は、もっとたくさんいたんですか?」 「そうだね。人々がこんなにあちこち動き回る前はね。」 サヤはグラントの顔をじっと見つめた。 「グラントさんって、いろんな事知ってますよね。オーナーも不思議な人だけど、グラントさんもそう。」 サヤはさらに、グラントを観察するようにじろじろ見た。 「もう3か月も滞在してるし、何するでもなく、こうやって私の仕事を手伝ってくれるし。何しにこの島にきたんですか?」 ぐぐっとつめよるサヤにグラントは、のけぞって視線をそらした。 「あ、まさか、オーナーを狙ってるとか??」 「いやいや、バカンスだよ、バカンス」 サヤの剣幕をどうにかなだめようと引きつった笑いを浮かべていたグラントの顔が、ふと鋭くなった。 「ん?どうかしました?」 サヤも気が付いて、その視線の先を追う。 「あ、オーナーだ」 テラス越しに見える波打ち際に、座り込むクレアの姿あった。 「ごめんよ、サヤ。今日の手伝いはここまででいいかい?」 「いいもなにも、グラントさんは、お客様です」 サヤは、はぁとため息をついた。 「なんだか様子がおかしいですから、行ってみてください」
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