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「おいおい、君は、この蛮行の犯人が僕だと考えているのかい?」 「この魚はこの辺りでもあまり知られていません。とても深いところに住む魚ですから。さらに、海の雫がこの魚の鱗だということも。それを知っている人が、ちょうどこんなことが起きた時に、ここにいるなんて、何か関係があると考えるのが普通じゃありません?」 もはや、クレアはホテルのお客に対する態度は捨てて、グラントを冷たくにらみつける。 「そうだね、今、人々が珍重する海の雫は、剥がれ落ちた鱗だけが砂浜に打ち上げられたり、漁師の網にたまたま引っかかっていたものがほとんどだ。だから、海の雫がどんな魚の鱗なのか、ほとんど知られていない。それが、価値をあげているともいえるけどね」 「そう。海の雫は、このサイズの魚の鱗にしてはとても大きい。だから、もっと大きな魚のものだと考えられています。本当は、ブルームーンフィッシュのエラの上に2枚だけ大きな鱗があるの。それが、海の雫。あなたは、どうしてご存じだったのかしら?」 詰め寄るクレアに、グラントはやれやれと首を振る。 「今日は、よく問い詰められる日だ」 「ごまかさないで下さいな」 「ごまかしたりしないよ。少し込み入った話になるから、どこか目立たないところで話せないかい?サヤも心配しているよ」 ホテルの方を見れば、片付けの手を止めてサヤがこちらを見ていた。 クレアは、安心させるように軽く手を上げた。 「じゃあ、私の部屋で」 「オーケィ。じゃぁ、僕はこの魚たちを埋めてから、お伺いするよ。さて、 スコップはホテルの裏にあったよね」 もはや、ホテルの客とも思えないような精通ぶりで、グラントはスコップを取りに歩き出した。
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