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グラントは、紅茶を一口含んで、背もたれに身体を預けた。 「エドに会ったのは、彼が亡くなる数年前。最初は仕事がらみで出会ったんだけど、そのうち、友人になった。僕は、ある秘密を抱えていてね、それを彼が知った時、彼は彼の秘密を僕に教えてくれたんだ。一つのお願いと共にね。その時に、この鱗を僕に託すといって、渡されたんだ。」 グラントは、窓の外を眺めた。どこか遠くを見るような目つきで、記憶の中の風景をみているのかもしれなかった。 「この島のことも話してくれたよ。美しく、不思議に満ちた島。幻の魚、ブルームーンフィッシュ。そして、月の光の結晶のような女性の話。思い出を美化しすぎているんじゃないかと僕がからかったほど、彼は、この島に魅了されていたよ。」 クレアは、もう一度鱗を指でそっとなぞった。 「エドは、なくなったんですね。」 「彼は、君には知られたくなかったようだね。僕にも、何かない限りは、この島には行くなって言ってたからね」 「何かって?」 「彼のお願いというのが、この島と君に何かあったら、助けてやってほしい、ってことだったんだ。君と寿命の違う彼では、君を見守り続けることは、できないからね」 クレアは、ふと何かが気になって、グラントを見つめた。 「彼が知った僕の秘密っていうのが、僕が長命種だってことなんだよ。お仲間だね」 にっこりとほほ笑むグラントに、クレアは目を伏せた。 「僕への疑いは、晴れたかな?」 「はい。大変失礼をしました」 クレアは、深く頭を下げた。
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