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二人が階下に降りていくと、直樹がテーブルに花を活けていた。
「やあ、美女二人のおでましだ」
友世のほつれた髪をさりげなく直してやりながら、
「兄さんも何か言ってやらなきゃ」
正樹のほうに振り向いた。
「お母さんに似てきたな。おどろいた」
正樹は言葉少なにそういうと、にっこりとした。
「さて、これでテーブルセッティングも完成だ。どう、友世ちゃん?」
テーブルにはキャンドルが灯されて、磨き上げられた銀のカトラリーがキラキラと輝いている。
「本当のレストランみたいね。叔父さん、ありがとう」
「ええと、あとお客さんは三人だっけ?」
「ええ。剣道の先生と、クラスメイトが二人」
ほどなくして、その三人も到着して、和やかに食事会がはじまった。
「本日は食事会にいらしてくださって、皆さん、ありがとうございます。初めてお会いする方々もいらっしゃいますから、自己紹介をお願いします」
正樹が挨拶をした。
初老の男性は、友世の剣道の師匠、浅木禮之助(あさきれいのすけ)。三澤暁子(みさわあきこ)と、林智則(はやしとものり)は友世のクラスメイトだ。智則は友世と同じ浅木道場に通っていて、幼馴染でもある。
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