出会い

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「きれいな犬ですね。犬種は何ですか。こんな犬を見るのは初めてです。オオカミの血が随分と入っているような感じだ」  黒っぽいブランドの服を着こなした男が話しかけてきた。手入れの行き届いたドーベルマンを連れていて、いかにも犬が好きなようだ。 「種類ねえ。近くにある『港の丘公園』、ご存知ですか。あそこで拾った犬なので。残念ながら雑種だと思います」 「とても雑種には見えないな。すばらしいですね」  男は、クロをほれぼれとして見つめ 、感嘆したようにいった。 「ありがとうございます」  飼い犬を褒められて、悪い気がする飼い主はいない。友世もなんだか誇らしくていい気分になった。
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