ストーカー

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えっ、開いてる。 俺は、嫌な予感がした。ま、まさか。泥棒!俺は周りに武器になるものは無いかと探して、玄関に置いてあった金属製の靴べらを握り締めた。足音をそっと忍ばせて、奥へと進む。 「先生?泉先生?」 俺はさらに声をかける。 どうか、泉先生が無事でありますように。 と言うのも、最近の泉先生は、熱狂的ファンによる、ストーカー行為に悩まされていたのだ。 まだ、ストーカー行為は、ネット上と編集社にだけで済んでいたのだが、もしかしたら泉先生の住所が割り出されてしまったのかもしれない。泉先生は、俺が守る! 各部屋を覗いては、靴べらを構えて見たものの、部屋には誰も居なかった。バスルーム、トイレ、クローゼット、くまなく調べたが、窓は施錠されており、どうやら単なる鍵の閉め忘れのようだ。 「もう、無用心だなあ。」 そう思いながらも、机の上を確認したが、原稿らしきものは無かった。 だいたい今時、手書きの原稿とかどれだけこの人はアナログなのだ。パソコンは苦手ということで、毎回俺が原稿を回収しに来なければならないのだ。まあ、そのおかげで愛しの泉先生に会う口実ができるというものだが。 きっと持ち出して、どこかで執筆してるんだろうなあ。諦めて帰ろうとした俺の目に、ベッドの上に置かれたパジャマが目に入った。コレを着て、泉先生はこのベッドで寝ているのか。  俺は、そのパジャマに手を伸ばした。すると、ふんわりと泉先生の匂いがした。ああ、ダメだ。そんなことをしては、俺はまるでヘンタイではないか。そう思いながらも、俺はパジャマを握り締め、口に当てると、すーはーと匂いを嗅いだ。やはり。泉先生の使っているシャンプーの匂いがする。俺はさらに、激しくすーはーする。パジャマがこんなに匂うということは、枕はきっと・・・。俺は、ベッドにダイブすると、枕の匂いを嗅いだ。とてもいい匂いだ。ああ、まずい。匂いを嗅いだだけで、俺のマイサンがまずいことになっている。  俺はもう、泉先生への情熱が止まらなくなってしまい、枕の匂いを嗅ぎながら、股間に手が伸びていた。その瞬間、玄関がガチャリと音がして、ドアを開けて閉める音がした。俺は慌てて、音を立てないようにクローゼットに籠もった。しまった!靴がそのままだ!隅っこのほうに邪魔にならないように避けていたので、どうか気付かれませんように。
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