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「きゃあッ!」
暗闇の中で鋭く光る目は真っ直ぐ私を見ていた。
恐怖でトレーを落としてしまい、カップが割れる音が大きく響いた。
「どうしたんだ!?」
シンさんがキッチンへすぐに駆けつけてきた。
「誰か…そこから…」
私は窓を指さしたけど、そこには、もう誰もいなくて、廊下の薄暗い景色だけだった。
シンさんはドアを開け、辺りを見回す。
私は、キッチンからシンさんの様子を震えながら見ていた。
あの目…
誠司な気がする。
「誰もいないみたいだけど…大丈夫か?」
シンさんが戻って来て、立ち尽くしている私の頬を撫でる。
「大丈夫です…。ちょっとビックリして…。カップ片付けなきゃ」
「俺がやるよ」
「割れたカップ包む新聞とビニール持って来ます」
私は新聞とビニールを用意すると、シンさんと一緒にカップの破片を拾い集めた。
シンさんは、カップの破片を拾いながら私に話しかける。。
「…アイツか?」
割れたカップが新聞の上に集められ、カチャカチャと音が鳴る。
「…多分…」
「この状態じゃ、まだ警察に話しても何もしてくれないだろうけど…一応相談しとこう。」
「ううん、まだ大丈夫です。……気をつけますけど、直接私を傷つけたりとかはないかと」
「本当に気をつけて」
「はい」
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