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高畑さんと唇が軽く触れる。 「ん…」 しまった…変な声出ちゃった。 何か…うまく力が入らない。 高畑さんが私の腰を自分に引きつける。 「俺も、…美優って呼んでいい?」 次は耳に唇を触れさせながら、質問してくる。 「…は、…」 私は高畑さんの質問に何とか返事をするけど、体がどんどん熱くなってくる。 恥ずかしい。 こんな事ダメだと思うのに、頭も体も全然うまく働かなかった。 高畑さんは、私を もう一度ギュッと抱きしめる。 高畑さん、何で、私…? 高畑さんは、やっと私を離した。だけど、相変わらず距離は近かったけど… 「高畑さ…」 「シンだって」 「あ…そうだった。えと、シ、シンさん」 「さんは余計だな」 「無理ですよ。いきなり呼び捨てなんて」 「俺なんかすぐに呼べるけど。美優って」 そんな、ドヤ顔されても。 「なんか、立場が違いますよ、立場が」 「俺がいいって言ってるのに?」 「だって…」 そんな言い合いしている間に誠司が向こうの方からやって来た。 アパートの階段を上がりかけて、私たちに気づき、数秒動きが止まった。 それから、こちらに向かって歩いて来る。 「あれか」 シンさんはニヤリと笑ってロングコートの襟元を軽く引っ張り整えた。
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