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「なんだ、どうした?」
うなだれる私にシンさんが近づく。
「シンさんがかっこ良すぎだから、私ミジメ…」
「え?何をワケの分からない事言ってるんだ。行くぞ?」
「うぅ…」
シンさんは私の肩を抱くと再び歩き始める。
私は力無くベタベタと歩いた。
少し陽が落ちてきて太陽がほのかに赤く見える。
シンさんはあったかい。
その温もりに身を任せながら、私も釣り合いような美人になりたいなー…なんて歩きながら考えていた。
***
「シンさん、ごめんなさい、ちょっとトイレに」
何となくトイレの表示を見て、行きたくなった。
「あぁ、じゃあこの辺で待ってるから」
「すみません」
シンさんを残しトイレへ向かい、私は廊下に入るなり立ち止まった。
「!」
長い行列が出来ている。
これじゃあシンさんだいぶ待たせてしまうなぁ…。
ちょっとヤキモキしながら並ぶ。
私はトイレが済むと、小走りに外へ出た。
すっごい待たせちゃったよ。
「すみません!すごい混んでて…」
「あぁ、いいよ」
シンさんは手提げの紙袋を下げていた。
トイレ待ってる間、近くのお店で買い物を済ませていたようだ。
「何か買ったんですか?」
「あ、これ?服」
「へぇ、どんなの買ったんですか?」
「ん?普通の服」
「普通って…」
普通って何。
「それより、あっち行こう」
「あっ、はっ、はいっ」
私はシンさんに肩を抱かれて歩き出す。
その後も、色々なお店で買い物したり、スイーツを食べたりした。
見て回るだけでも楽しい。
そして、彼のあの可愛い笑顔を見るのも嬉しい。
その間にも、太陽がどんどん傾いて行き、ゆっくりゆっくりと落ちていく……。
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