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―未来2―
それから、彼とはそのカフェでよく会うようになった。最初の方は挨拶をする程度だったが、やがて世間話をする仲になった。
私は黒岩のことを色々と知った。
例えば、彼は研究者で、誰もが知っているような日本のトップクラスの大学に教授として勤めていること。
例えば、趣味や感性が私とよく似ていること。
例えば、彼の本を読んでいるときのクールな表情と、人懐っこい笑顔とのギャップが、私のツボだということ。
そして出会ってから三か月が経った頃、自然な流れで、私たちの交際は始まった。
私たちの交際は順調に進み、付き合い始めてから半年くらい経って、二人は同棲を始めた。
彼は友人や同僚に私との馴れ初めについて聞かれると、カフェで逆ナンされたと言っているらしい。恥ずかしいのでやめてほしかったが、結果的にそういうことになってしまったわけだから、何も言えない。
自己主張の少ない私と、洞察力が鋭くて穏やかな性格の彼は、自分たちのことながら相性がよかったと思う。
彼の仕事も順調で、今はワープホールを作っているらしい。上手く行けば十メートル程度のワープが可能になるらしい。理系ってすごいんだな。
そして、このまま何事もなければ、私たちは結婚すると思う。いや、何かあったとしても、私は彼以外考えられない。彼がどう思っているかはわからないけれど。
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