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君と別れてから、私はまず一週間なにもしなかった。
正確にはできなかった。なにかをする気力がなくて、ただ生きるために飯を食い、糞を出し、床に就く一日を七度繰り返した。
食べるものがなくなくなり、ようやく外へ出たんだ。
「案外、女々しかったのね」
「誰のせいだと思っているんだ」
彼女の辛辣な物言いに眉を寄せる。
本当に誰のせいだ。まったく。
そう返すと彼女はまた笑う。
再会してから彼女は笑ってばかりだ。
「何がそんなに面白いんだい?」
「思い出し笑いよ。あなたと過ごした時間は楽しかったもの」
不意に憂いを帯びる彼女の瞳。昔から、どうもそういった彼女の表情には弱い。
そこに何度か付け込まれたこともあったが、彼女が笑ってくれるなら不思議と怒る気はせず、こちらも笑って流してしまう。
たぶん、惚れた者の弱みというやつだ。
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