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第1章 夏休み
勉強は嫌いだ。
まだ高校に入ったばかりなのに、なんでこんなに勉強してるんだろう。頭がいいわけでもないのに。
塾に入ったのは半分以上親の強制。
正直めんどくさい。
せっかくの帰宅部、遊びたいし夏を満喫したい。
でもこうやって自ら進んで塾に来てる理由はー・・・
「茉央さん、ほんとにわかった?」
「え、うん!わかったよ!わかった!」
「じゃあこの問題自分で解いてみて」
「えっ………」
神谷 渓 20歳。この県では一番の大学の2年生。
ここの塾でアルバイトの講師をしている。
頭が良くて顔も良し。それでいて話しやすい。
最初はかっこいいし勉強の教え方うまいしって感じで勉強教えてもらうだけだったんだけど…
いつの間にかこの人のこと気になってたり…。
「渓さん、今日大学は?」
「今日は1限だけだったからね~」
自力で解けない問題から話題をそらす。
そんな私を見透かして渓さんは私の頭をチョップする。
「どうせまた解けないんだろ!」
笑いながら言ってくる。
塾内は人も少なく比較的静かだった。
窓から差し込む日差し
静かな空間に私と渓さんの話し声
この時間が好きだ。
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