第1章 夏休み

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「それにしても人少ないな~夏休みだからかな」 渓さんはけだるそうにそう言う。 私は心の中で人が少ないおかげで渓さんを独り占め出来るこの状況にありがとう、と言う。 「アイスでも買ってこようかな~」 「え、渓さん今バイト中でしょ?」 「塾長には内緒な!」 いたずらする時の子供みたいな顔でシィッと口の前で人差し指を立てる。 塾を出てすぐのコンビニで渓さんはアイスを買ってきた。2つ。 渓さんはチョコのアイスを私に差し出し 「これも内緒ね」 自分だけ特別みたいな、そんな感じがして顔が熱くなる。室内は冷房で寒いくらいのはずだった。 「じゃーこれ食べたらまた数学するぞー」 「うっ……はーい……」 この時間がずっと続けばいいのに、なんて思った。
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