第1章 夏休み

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**** 「あれ?渓さんは?」 塾に来ると最近は毎日出勤していた渓さんの姿がなかった。 「あー、今なんか課題のレポートやらなきゃだって」 塾長が言う。 そっか課題か…じゃあしばらく会えないな、と思うと寂しくなる。 渓さんは最近ずっと塾にいたから忘れがちだったけど、渓さんは渓さんで大学生なんだからちゃんと都合があるんだよな…と感じる。 「あいつ夏休みなのにわざわざ学校に行って特別授業受けたりしてるんだよ、勤勉だよなぁ」 塾長が渓さんに感心してお前も頑張れよ、という感じでこちらをみて頷いてくる。 勤勉でかっこよくて優しい渓さん、 かたや勉強も中の下で普通の高校生の私。 その年の差4歳。 高校1年生の私はその差はかなり大きく感じていた。 渓さんと会えない時間が私と渓さんの距離をしみじみと感じさせていた。
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