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「風邪をひいたのかな?会社休んでるって聞いて見舞いにきたんだけど」
「蒼井さま……
咲さまは熱が高くとても起き上がれるような状態ではなく……伝染ってもいけませんので今日は失礼を―――」
「あ、僕は伝染ってもかまわないよ。ごめんね」
「ちょっと、お兄様。勝手に入ったらダメじゃない」
「ああ。真央は帰ってもいいよ」
「蒼井さま!今日は―――」
止めようとする執事くんには僕をとめることはできない。
止められるのは駒沢家当主である咲ちゃんだけ。
執事くんの困惑を振り切って屋敷の中に真央と入ると、仕方なく二階へと案内してくれた。
「咲さま、蒼井さまがお見舞いにいらっしゃいました」
「……うん、入ってもらって」
ガチャ
頼りない声が聞こえ、真央と部屋に入ると咲ちゃんがベッドから身を起こすところだった。
頬は薄いピンク色、瞳は熱で潤んで息は熱かった。
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