『若恋』君がいないクリスマス

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何故かふたりが抱き合っているように思えて顔を逸らした。 お互いを想い合っているように思えて、そんなはずはないと心の中に言い聞かせる。 この世界では主と使用人の恋愛は御法度。 「咲さま」 「……もう大丈夫だから、少し目眩がしただけ」 「ですが」 「本当に大丈夫…だから」 ね? 咲ちゃんの声が熱っぽい。 ふたりの姿を見たくないのに、労る声も毒なのに聞いてしまう。 胸が苦しいのはなぜ? 息ができなくなるのはなぜ? 「お兄様っ!?」 部屋を出る僕に真央が追いかけてきた。 胸に何かがつかえてる。 「お兄様はもしかして―――」 違う。 そんなはずない。 そんなはずがない。 そう言い聞かせふたりがいる部屋を出た―――
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