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何故かふたりが抱き合っているように思えて顔を逸らした。
お互いを想い合っているように思えて、そんなはずはないと心の中に言い聞かせる。
この世界では主と使用人の恋愛は御法度。
「咲さま」
「……もう大丈夫だから、少し目眩がしただけ」
「ですが」
「本当に大丈夫…だから」
ね?
咲ちゃんの声が熱っぽい。
ふたりの姿を見たくないのに、労る声も毒なのに聞いてしまう。
胸が苦しいのはなぜ?
息ができなくなるのはなぜ?
「お兄様っ!?」
部屋を出る僕に真央が追いかけてきた。
胸に何かがつかえてる。
「お兄様はもしかして―――」
違う。
そんなはずない。
そんなはずがない。
そう言い聞かせふたりがいる部屋を出た―――
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