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「大丈夫かい?社長から風邪をひいて寝込んだってきいたけど」
「蒼井さん、ごめんなさい……来週までにはプレゼンを仕上げます。ちょっと風邪をひいただけだから、熱が下がればすぐに良くなると―――」
「無理しちゃダメだよ。あっ」
くらっ
咲ちゃんの体が揺れてベッドから落ちそうになった。
危ないっ!!
咄嗟に手を伸ばした僕より速く執事くんが横から割り込むように抱き留めた。
「……咲さま」
「ご、ごめんなさい、目眩がして…わたし」
執事くんの腕に力が込められる中咲ちゃんは慌てて離れようとした。
「……本当に大丈夫だ、から」
「熱が高いです。咲さま」
ズキン
突然、胸が痛くなって息ができなくなる。
よろけた咲ちゃんを執事くんが支えただけなのにこんなにも気持ちが掻き乱される。
ふたりは何もしていないのに、何もされてはいないのに。
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