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鉄板入りブーツの一蹴りで、ドアは枠ごと外れて向こう側に倒れた。
破壊された壁の残骸を靴の裏に感じながら、一行は室内へと足を踏み入れる。
リビングに続くドアも穴だらけだ。
そしてターゲットがいるのは、この先。
たとえ先程の一斉射撃で相手が肉片だけなっていたとしても、証拠のひとつも持ち帰らなければならない。
リビングに続く形だけのドアを開けて見れば、横倒しになったビリヤード台に人影がもたれかかっているのが見えた。
床に足を投げ出して座っている。
ガウンを着た男で、そして全身が血まみれだった。
右手には最期のあがきか、一丁の拳銃を握ったままだ。
だがもう力なく、首を深くうなだれている。
ピクリとも動かない。
だがリーダーは腕をあげ、男の腹に2発の銃弾を撃ち込んだ。
男の身体はそのたびにビクンビクンと魚のように跳ねて、やがてズルリと床に横たわる。
すでに息はなかったようだが、死体になりすまして反撃のチャンスを狙っている、ということもあり得る。
今回のミッションのユニットリーダーは、実に慎重で臆病な男だ。
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