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2日目
いつもより早く僕は駅に向かう。
また明日です。
今日も彼女に会える。そう思うと心がウキウキした。今日はどんな話をしよう。それを考えている時間が楽しくて仕方がなかった。駅について休憩室に行くと、彼女が座っていた。扉を開くとこちらに向かって微笑んで、メモ帳を開く。そして何かを書き込んだページを僕に向かって開く。
「おはようございます。今日はお早いんですね」
「ちょっと早く目が覚めたからね」
そう言って僕は彼女の1つ隣に座る。
彼女はおもむろに立ち上がり自動販売機に向かって歩き、何かを買った。そして僕の目の前に立ち、コーヒーを差し出してくる。
「僕に?」
彼女はメモ帳を開いて僕に見せる。
「昨日のお礼です」
「そんなのいいのに」
そう言いながら受け取る僕も僕だけど。
今日も眠る兎シリーズについての考察で盛り上がった。あのシリーズは伏線がありとあらゆるところに散りばめられていて、最後の最後で全てが繋がるあの快感がとても癖になる。彼女も同意してくれた。
楽しくて時間が過ぎていくのがとても早い。もっとたくさん話がしたいと思うくらい早く時間が過ぎていく。
「そういえば、名前聞いてなかったね」
「私は桜です」
「僕は春」
桜と春。なんだか運命のようなものを勝手に僕は感じてしまった。
「春さん、電車が来ますよ?」
「ほんとだ、もうそんな時間なんだ」
彼女はメモ帳に何かを書いて、消してからもう一度書いてそれを僕に見せる。
「また明日」
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